持続可能な社会を築く基盤は、世界の地域社会にある。住民参画のもと地域の特性、自立性に基づく政策運営が本来、民主主義社会のあるべき姿である。
ただ、我が国においては、ともすれば国の縦割りの補助制度を利用した画一的な地域運営が行われてきた。しかし、国は莫大な借金を抱え、地方は国の十分な下支えを期待できない状況となり、いわゆる公共事業に頼らない地域の自立が求められるようになった。
その一方、少子高齢化の進展により、人口減少時代に入るとともに、依然として進行している大都市への人口集中にともない、地方の活力減退が懸念されている。
このような状況を背景に、基礎自治体が主体となった、住民参加のもと縦割りを排除した統合型の地域政策立案が求められ、国もそうした地域の動きを支援する体制となってきている。
こうした地域政策を主として担うのは、基礎自治体の職員であるが、地球温暖化問題のような吃緊で重要な課題の解決にあたるためには、高度な専門的知識を持った人材が必要となる。しかし、多岐にわたる分野ごとに専門職を育て、配置することは多くの自治体にとり、困難なことである。また住民参画をすすめるためには、多セクター間をコーディネートする能力の高い人材が、より求められている。
そこで、このような状況に対応する人材流動化のシステムづくりを提案する。
このシステムは、環境首都コンテストを主催するNPO、参加する自治体と協力する大学、事業者など環境意識の高い様々な団体のネットワークにより、環境政策、統合的な地域政策、住民参画に通じた人材を育成し、その流動化を目指すものである。自治体をはじめとする団体が専門知識、経験をもった人材の受け入れと交流をすすめることにより、政策等の立案能力の向上やスタッフの育成に役立てる。そして、このような人材の交流を通じてネットワークに参加する団体の連携を図り、各々のエンパワーメントと持続可能な地域社会の構築に役立てるものである。
【提言2】環境首都コンテスト参加自治体とNGO等のネットワークによる人材の戦略的流動化
投稿日 2017年4月7日