2010年2月18日、私たちは全国22自治体、13NGOとの協働により「地域の主体性を大切にした、再生可能エネルギーの飛躍的拡大~日本社会への提案~」を行い、その実現のために行動を続けてきました。
こうしたなかで、今年3月11日に東日本大震災とそれを起因とする福島第1原子力発電所での事故が起こり、エネルギーの在り方について日本社会全体に大きな枠組みの転換が求められることになりました。
エネルギーは、私たちの生活や経済活動のために必要不可欠なものです。世界的な人口増加や発展途上国の経済発展等を考えると、現代文明の枠組みのままでは、今後、更に大量のエネルギー資源が必要になることは間違いありません。しかしながら、現在の主要エネルギーである化石燃料には限りがあり、それを大量に使用することは気候変動を進ませることになります。一方、原子力発電についていえば、それがはらむ巨大なリスクが明るみに出た今日、これまでの政策を続けることは不可能に近いといわざるをえません。将来世代に負担を残さぬよう再生可能エネルギーの早期導入を望む声は、国民共通のものになろうとしています。
さらに、我が国のエネルギー自給率はわずかに4%程度であり、この自給率を上げることが重要な課題のひとつであると言えます。特に電気エネルギーは、この30年で使用量が2倍に増加するなど一番身近で使いやすいエネルギーですが、この電気エネルギーをつくるために日本の一次エネルギー総供給のうち40%以上が投入されており、一次エネルギーの供給内訳を考慮すれば、これは持続可能な状態ではありません。
こうしたことから、水力、太陽光、バイオマスなどの地域資源を利用した再生可能エネルギーを早期に飛躍的に普及し、安全な国産エネルギーを確保するとともに、低エネルギー社会を構築することにより気候変動を防ぎ、持続可能な社会を構築する戦略的な施策展開が望まれているところです。
この再生可能エネルギーを普及させていくにあたり、電力供給事業者には電力需給に関する基礎データや再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に対する考え方などを公表し、幅広い議論にかかわっていくことが求められていると考えます。これは適切な節電の推進に繋がることはもちろん、自治体が再生可能エネルギー普及の戦略を立てるうえで不可欠の要件となっています。しかしながら現状は電力会社からの基礎データの開示がないなど情報開示が不足しています。
そこで、積極的に持続可能な社会の構築に向けて取り組んでいる自治体及び環境NGOは、自らの積極的な取り組みを行うとともに再度、日本社会及び政府、政党、エネルギー事業者等関係者に強く次の行動を要望します。
また、全国の自治体、NGOのみなさんに共に行動していただけるよう提案するものです。
【提案1】国及び地域の特性に合わせた目標設定と政策パッケージづくり
国は、再生可能エネルギー比率を飛躍的に高めることを念頭に置いた中長期目標値、及び国としての最終消費エネルギーを低減する目標値を設定すること。それを可能とする(法的整備、社会システムの構築、財政誘導など、啓発や補助金にとどまらない)政策、行動パッケージを国民的議論及び自治体の参画により策定すること。
自治体は、地域の特性に応じた、また地域の特性を活かした再生可能エネルギー導入の目標値、及び地域で消費するエネルギー低減目標値の設定と、それを可能とする政策、行動パッケージを行政組織の横断的参画により策定すること。また、その策定過程おいては、住民の主体的参画を保障すること。そして政府は、その策定に関して自治体の主体性を尊重する中で財政的、技術的支援を行うこと。
【提案2】情報の開示、収集と活用による様々な主体が参加できる仕組みと場づくり
電気事業者等のエネルギー事業者は地域のエネルギー使用量、太陽光発電等再生可能エネルギーの導入量データなど、自治体が再生可能エネルギー普及の戦略を立てる上での基礎となるデータを積極的に提供すること。政府は、これらの情報開示が早急になされるように必要な措置をとること。
また自治体は、地域でのポテンシャルや活用度合いなどを「見える化」し、市民、NPO、自治体、地域の事業者等、様々な主体がそれをもとに連携した活動ができるように、情報整備と場づくりを行うこと。
※ 本提案と併せて、「地域の主体性を大切にした、再生可能エネルギーの飛躍的拡大を~日本社会への提案~」をご覧ください。